商工会議所報FUKAYA10月号NO625
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SPECIAL        FEATURE特 集〒366-0825埼玉県深谷市深谷559TEL:048-577-7055営業時間:10:00~18:00■BCPとは?  その意味と目的を振り返る BCPとは大地震や洪水などの自然災害やテロ、さらには今なお世界中で猛威を振るっているコロナウイルスの蔓延などによる危機的な状況に遭遇した際に、損害を最小限に抑え、重要な業務を継続しながら早期復旧を図るための計画です。これは、単なる防災対策とは異なり、明確な目的を“事業の継続”に置き、具体的な行動指針を示すことにあり、2011年に発生した東日本大震災をきっかけにその重要度は高まっています。そして、緊急事態時でも途切れず事業を継続させ、万が一途切れた場合でも早期の復旧が実現できれば、お客さまからの信用は維持され、同時に企業の社会的な信頼も得ることができます。 しかし一方で、策定した計画の内容の不備や、策定後に時間が経過しすぎたためBCPが効果的に働かず事業の継続ができなくなった例も全国的に見受けられます。特に、策定したBCPが社員全員に周知されていないため、実際の場面で行動に移せなかった事例や、復旧目標が現実に即していなかったため実行不能であった事例もあります。 以上のことから、BCPは策定することが目的ではなく、変化し続ける毎日の現状をしっかりと把握・分析した上で、次の戦略に結び付ける継続的な改善がとても重要となります。■リスク確認から始まる策定のステップ BCPの策定を初めて行う場合、段階を踏んで進めていきます。それでは、実際のBCP策定時の具体的な手順についてステップ毎にご説明します。ステップ①策定の目的設定 まずは皆さまの企業が目指すものは何かという“経営理念”や“基本方針”に立ち返ります。従業員の人命を守る、お客さまからの信頼を守るなど、経営者の念頭にある基本方針を確認しましょう。ステップ②重要な業務と考えられるリスクの洗い出し 次は企業にとって最も重要な業務は何かを明確にし、想定されるリスクを言語化します。緊急事態発生時、事業を継続させる上で最も優先すべき事業を“中核事業”と呼び、「売り上げが最もある事業」や「企業の信頼を維持するための重要な事業」などがこれにあたります。そしてリスクの洗い出しですが、この段階では実際に発生したら困るリスクを全て書き出し言語化します。地震や台風、火災などの災害や、事故や事件、ウイルス感染、伝染病の流行、サイバー攻撃、地盤沈下など、起こりうる災害を想定し、事業に及ぼす被害をより具体的な形で洗い出します。ステップ③リスクに優先順位をつける 全てのリスクに対処することは現実的ではありません。災害発生時に限られた資源を効果的に投入するためにも、リスクに優先順位をつけ、優先度の高いリスクに絞ったBCPを策定します。この優先順位をつ今の時代だからこそ必要となる事業継続計画事業継続計画(BCP)とは?     初めてでもわかる策定手順と注意点 あらゆる企業にとって、災害などの緊急事態時に損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図ることはとても重要です。そのためには、事業継続に向けた事前の計画“BCP(Business Continuity Planning)”の策定は必要不可欠。今回の特集では、BCPという言葉を初めて聞く方や、今後BCPの策定をお考えの皆さまにその必要性や基礎知識、策定方法をご紹介します。2

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