商工会議所報FUKAYA10月号NO625
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SPECIAL FEATUREけるポイントは、“発生頻度”と“深刻度”の2つの軸で判断することが重要です。ステップ④実現可能な具体策を決める BCPでは、誰が指揮を執り、誰がその指示で行動するかという詳細を具体的に決める必要があります。それぞれの緊急事態時に対し、細かく内容を決めておくことで冷静な判断や行動を取ることができます。ここでは「災害等発生時」「応急処置時」「平常時」と時系列を3段階に分け、「人的資源」「施設・設備」「資金調達」「体制・指示系統」「情報」の5つのカテゴリーで詳細を決めます。■復旧までの流れを意識して必要なことを把握 BCPをより具体的で実施しやすいものにするためにも、災害が発生したときにどのような流れで事業を平常状態に戻すかをイメージすることが大切です。ここでは、問題が発生してからの対応を3段階に分けて検討します。【第1段階】被害状況の確認 まずは“確認”から始まります。どのような被害が発生しているのか確認・把握し、従業員の安否、そして設備やシステムに関する被害状況を確認します。【第2段階】代替え手段での応急処置 次に行うことは“代替”です。大きな災害が発生した場合でも、不足している人員や設備などをある程度代替えできる仕組みを事前に構築しておくことが重要です。そのためにも、業務に必要な資材や設備を前もって把握し、緊急時の代替え手段を確認する必要があります。【第3段階】平常操業に戻す復旧作業 最後は“復旧”です。被害を受けた部分を復旧させ、平常操業に戻す手順を整えます。復旧を行うためには、平常時より、元々の設備やシステムの設計・設定、稼働状況などを正確に確認し、緊急時でも取り出せるようにデータのバックアップ対策を行う必要があります。■BCP策定の注意点 BCP策定では、最初から完璧な計画を目指さないということも大事です。災害は突然起きるものであり、最初からあらゆる事態を想定し、考えられる全てのリスクを網羅した完璧な計画を立てることは大変困難です。完璧を目指すあまりBCPの完成が遅れ、肝心な災害時に準備が間に合わないということでは意味がありません。各事業所にとって必要なものから優先させ、できる範囲から少しずつ策定を進めましょう。また、策定したBCPは社員全員に理解してもらい、平常時でも常にリスクを意識できるような社内のムードを作ることも必要です。 今後、深刻なリスクに直面しても冷静に対応できるよう、皆さまもBCP策定に積極的に取り組みましょう。事業継続計画(BCP)とは? 初めてでもわかる策定手順と注意点①災害状況の確認•従業員の安否確認•物的被害の確認•システムなどの被害確認②代替え手段での応急処置•人員や設備の代替えできる仕組みづくり•体制を整えた後に、代替えシステムへの切り替え③平常操業に戻す復旧作業•設備等のハード面の復旧•サーバーやネットワークなどのソフト面の復旧災害発生平常時へ災害等発生時、事業を継続させるために最も優先すべき事業を洗い出す重要業務とリスクの洗い出しステップ②リスクの書き出しリスクの発生頻度と深刻度を基準に順位を決めるリスクの優先順位づけステップ③誰が指揮を執り、誰がその指示を受けて行動するかなど、緊急対応体制を構築させる実現可能な具体策の検討ステップ④経営理念や基本方針を振り返り、何を守るべきかを決める目的設定ステップ①3

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